コラボレーション企画 ステーンハンマル友の会 スウェーデンからの風・夏の音楽会①
​クァルテット・オチェーアノ第15回公演は、ステーンハンマル友の会との共催でスウェーデンの大作曲家ノールマンの焦点を当て、18世紀後半から19世紀にかけての弦楽四重奏の発展を辿る興味深いプログラムです。
ヨーゼフ・マッティン・クラウス(1756–1792)の《弦楽四重奏曲 ト長調 作品1-6》は、古典派様式の中に独自の個性が光る作品です。クラウスはしばしば「スウェーデンのモーツァルト」とも称されますが、この四重奏曲においても精緻な対位法と透明感のある楽想が特徴的です。「スコットランド風」という表題をもつ楽章がある点も興味深い。続くルイ・シュポーア(1784–1859)の《弦楽四重奏曲 ト長調 作品82-2》は、ロマン派初期の様式を代表する作品の一つです。シュポーアの作風は、独特な和声の運用や旋律線の流麗さに特徴があり、この作品においても各声部の絡み合いが豊かな表現を生み出しています。特に、内声部の充実した書法や、細やかなアーティキュレーションが求められる場面では、オチェーアノのガット弦による音色の変化が、作品の持つ繊細な美しさを際立たせることでしょう。
プログラムの掉尾を飾るのは、ルートヴィグ・ノールマン(1831–1885)の《弦楽四重奏曲 ニ短調 作品24》。ノールマンはスウェーデン音楽史上重要な位置を占める作曲家であり、特に室内楽作品においては、北欧的な抒情性とドイツ・ロマン派の影響が融合した独自の語法を確立しました。本作品においても、緻密な構造の中に内在する情熱と劇的な表現が印象的であり、ガット弦の温かみのある響きは、その叙情性と陰影のある音楽的性格をより際立たせるはずです。
本公演は、18世紀から19世紀にかけての弦楽四重奏の多様な展開を歴史的視点から俯瞰し、その響きを当時の演奏スタイルに近い形で体験できる貴重な機会となるでしょう。
後援:スウェーデン大使館、ミュージックサロン・サングレース
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 【東京ライブ・ステージ応援助成】
Supported by Arts Council Tokyo, Tokyo Metropolitan Foundation for History and Culture
プログラム
ヨーゼフ・マルティン・クラウス Joseph Martin Kraus (1756-1792)
弦楽四重奏曲 ト長調 作品1-6 ”スコットランド風”
Quartet in G major [Opus 1, no. 6, 'Schottisches Quartett', acc. to publ. Adolf Hoffman]
opus 1 no. 6, VB² 187
ルイ・シュポーア Louis Spohr (1784–1859)
弦楽四重奏曲 ト長調 作品82-2
String Quartet Op.82 No.2 G major
ルートヴィグ・ノールマン Ludvig Norman (1831−1885)
弦楽四重奏曲 ニ短調 作品24
Qvartett ('Quatuor N:o 4', D minor) for 2 Violins, Viola and Violoncello, opus 24
入場・チケット購入
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一般:5000円
ペア券:8000円
学生券:2000円 -
チケット発売日
2025/03/24
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購入方法
お問い合わせ先
メールアドレス:quartetto.oceano@gmail.com
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