生の演奏を超える音を録りたい——STUDIO1812 梅谷一弘が追い求める「究極の音」とは
演奏会で生の音楽に触れるとき、人は耳だけで音を聴いているわけではありません。ステージ上の演奏者の姿を目で追い、空気の振動を肌で感じ、客席の熱気すら音楽の一部になります。五感が総動員されるからこそ、生演奏はあれほど心を揺さぶるのでしょう。
では、録音された音楽はどうでしょうか。
目の前に演奏者はおらず、スピーカーから届く音だけが頼り。「耳だけで聴く音楽」は、果たしてライブと同じ感動を生み出せるのでしょうか。
「実際に鳴っている音より綺麗に録りたい。そうでないと、録音物は生の音楽を超えられない」
そう語るのは、STUDIO1812を主宰するレコーディングエンジニア・梅谷一弘さん。元フルート奏者でありながら、録音の世界へ足を踏み入れ、業界でもほぼ前例のない独自技術「ハイブリッドレコーディング」を開発するに至った人物です。
その技術の核心から、演奏者を育てる録音指導の哲学まで、深く迫ります。