今回は4月14日のコンサートのライブ録音よりカーク=エラートの「シンフォニッシェ カンツォーネ」をアップしました。カーク=エラート(1877-1933)はドイツの作曲家、ピアニスト、オルガニスト、音楽学者で12兄妹の末っ子として生まれ、幼少の頃から教会の合唱団でその音楽的才能をあらわしていました。19歳の時に奨学金を得てライプツィヒ音楽院で学び始めます。彼は自身のことを風変わりな一匹狼とみていたようですがその作風はとても個性的であると同時にバッハやドビュッシー、グリーグ、スクリャービンらから影響を受けています。「シンフォニッシェ カンツォーネ」は彼の作風の転換期ともいえる1917年に作曲され、カンツォーネの意味どおり、美しく歌うモチーフと印象派や表現主義を思わせる旋法や和声進行によって内なる苦悩を音にしていて後期ロマン派と印象派という新しい時代の両方の香りを合わせ持つ興味深い曲です。この曲はドイツでの卒業試験でも演奏し、個人的にとても思い入れのあります。フルート吹き以外の方にはあまり馴染みのない曲ですがコンサートでは最初から最後まで集中して聴いていただけてとても嬉しかったです。

URL：https://www.youtube.com/watch?v=Uij69FCLydA