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2024/09/22
国境を越え、音楽家同士がつながり合う場として「日本クラシック音楽祭」は今年で第4回を迎えます。この音楽祭は、12年間オーストリアでの留学生活を送り、ヨーロッパ各地の音楽家たちと深い絆を築いたMaria Satomi Shojiさんが、彼らへの感謝を伝えるために始めたものです。音楽は人と人を結ぶ力があると信じてやまないShojiさんに、音楽祭への思いをお聞きしました。
この11月、スペインからピアニストのルベン・ロレンソさんをお招きし、「日本クラシック音楽祭」を横浜市開港記念会館講堂で開催いたします。 この音楽祭は、私が帰国してからも、私を音楽祭やコンサートに招いてくださった、ヨーロッパの音楽仲間たちへのお礼の気持ちから始めたもので、今回で第4回を迎えます。
私は留学期間もあわせて、12年間オーストリアで過ごしました。とくにウィーンで暮らしたときは、さすがに「音楽の都」というだけあり、たくさんの音楽家が住んでいて、互いに知り合う機会が豊富にありました。 さらに「この人とこの人を引き合わせると、なにか良いものが生まれるかもしれない」という彼らの発想の豊かさと、フットワークの軽さもあり、音楽家同士の交流も積極的で、一緒に演奏会を開くことも多かったものです。 留学中は毎日、小さいながらもコンサートに出演する機会に恵まれました。場所もウィーンにとどまらず、ドイツ、ハンガリー、スペイン、ベラルーシなどヨーロッパ各地に出向く機会がありました。
そうした縁が巡り巡って現在でも続いています。日本に帰国して20年以上経った今でもヨーロッパの演奏会に招待され演奏する機会があります。私を招聘して下さる彼らへの返礼として日本クラシック音楽祭が始まったのです。 帰国当初、私はヨーロッパに比べて、日本でのクラシックコンサート需要が少なくハードルが高いことに戸惑いました。年間で何回企画し、どれぐらいの集客が見込めるのかといった事業計画がしっかりしていないと、コンサートは開催困難であると感じたのです。 しかし、私が与えられたものは、やはり音楽。一人の音楽家として、長年学び過ごしたヨーロッパの芸術文化を、日本で広めていくべきだと思いました。 同時に、日本に来たことのないヨーロッパの仲間たちに日本の素晴らしさを紹介したいと思ったのです。大変うれしいことに、実際に日本に来た仲間たちは、日本の清潔さ、秩序正しさに感激し、他の仲間からも日本に来たいというオファーに事欠かない状態が続いています。 演奏家である私たちにとって、素晴らしい作品を通じ、ご来場の皆さまと共に感動できることは、この上ない喜びです。コンサートの思い出は一生の宝物になります。
演奏家がいろいろなところへ出向き、さまざまな空気を吸って、多くの人と出会うことは、新しい感性が芽生えるということにつながります。旅は、私たちの音楽性にとって大切な経験なのです。 また、これまでに招聘したピアニストが、日本でコンサートを開いた話題が彼らの地元新聞に取り上げられたこともあり、日本での演奏がキャリア形成の一助になればとも願っています。 出演アーティストは私の仲間たちです。日本のお客さまにきっと満足してもらえる良い音楽家がたくさんいらっしゃいますので、知名度にこだわらず、真に良いと思われる方々に積極的にチャンスを与えられればと考えています。
私は音楽家として、「音楽を愛する世界中の人々はみな兄弟」という考えをモットーにしています。そこから、国際的に活動するプロ音楽家グループ、「プロフェッショナルミュージシャンズワールドワイド」が生まれました。 音楽家同士は心から音楽に感動し、楽しみ、理解し合うもの、競争するのではなく、互いの個性を大切にしあうものです。音楽はこうして人と人とを自然につなげていくものだと考えています。 私もこうしたつながりのもとで、音楽に生かされています。自分自身のPRや単に音楽活動を広めたいといった目的ではなく、私に与えられた音楽芸術文化向上への使命を全うするために、今後も音楽祭を続けていきたいと思っています。
11月の音楽祭では、アルフレート・グリュンフェルトの作品をご紹介します。グリュンフェルトはオーストリアで活躍した作曲家で、ピアニスト。ユダヤ人だったため、第三帝国の支配下で自作品が上演禁止となり、忘れ去られてしまいました。 また、作品には小品が多かったため、同時代のブルックナーなどに比べると低い評価を受けてきましたが、作品自体は非常に芸術的で、ヨハン・シュトラウスと親しかった作曲家ならではのウィーン情緒と美しさに満ちあふれており、どなたにも親しみやすい作品です。 今年没後100年ということもあり、今後作品が取り上げられる機会が増えることを願って、私の演奏で《ウィーンの夜会》など9曲をお届けする予定です。 もう一人の出演者はスペインからいらっしゃるルベン・ロレンソさん。スペインが生んだピアノの女王、アリシア・デ・ラローチャさんと交友のあった方です。グラナドスやファリャなどのスペイン音楽をおたのしみください。 そしてプログラムの最後にはピアノの超絶技巧が多彩に駆使されているフランツ・リストの《スペイン狂詩曲》が演奏されます。私たちの演奏が皆さまの良いコンサート体験となりますように、音楽祭当日まで準備を進めて参りますのでぜひご来場下さい!
第4回 日本クラシック音楽祭
日時:2024年11月24日(日) 11:00開演
場所:横浜市開港記念会館
詳細ホームページ : https://jpclassic-musicfest.jimdofree.com/
実 行 委 員 長 ・ 芸 術 監 督 Maria Satomi Shoji ピアニスト/ Music Office 小路清忠 Artists Circle 代表 11:00開演 アルフレート・グリュンフェルト作品演奏 ピアノ Maria Satomi Shoji 14:30開演 スペイン作曲家達の作品演奏 ピアノ Rubén Lorenzo
クラシックコンサートピアニスト
中の人は、アマチュアオーケストラで打楽器をやっています