エクス・ノーヴォ vol.15

1588年、フィレンツエ。天正少年使節団を招いた事でも知られるトスカーナ大公フランチェスコ･デ･メディチの急死により、枢機卿であった弟のフェルディナンド･デ･メディチが還俗し第3代トスカーナ大公となりました。翌1589年、フェルディナンドはフランス王アンリ2世とカトリーヌ･ド･メディシスの孫、クリスティーヌ･ド･ロレーヌと結婚。その豪華絢爛な結婚祝典は盛大に行われ、文化･芸術の花熟れるフィレンツェの誇りと国力を内外に広く知らしめました。祝典中、5月2日にウフィツィ宮殿で上演されたのが 《ラ･ペッレグリーナ(=女巡礼者)》です。《ラ･ペッレグリーナ》は全5幕からなる喜劇で、幕間に6つの「インテルメディオ(=幕間劇)」を含む長大な作品でした。当時の演劇では幕と幕の間に「インテルメディオ(=幕間劇)」という小作品が挿入されるスタイルが主流でした。インテルメディオでは音楽や踊りがふんだんに盛り込まれたことから、メインである演劇よりも人気が高まり、豪華なものへと発展していきます。《ラ･ペッレグリーナ》のインテルメディオの制作には当代随一の芸術家たちが集められ、作曲にマルヴェッツィ、マレンツィオ、ペーリ、カッチー二、アルキレーイ、シナリオ構成にジョヴァンニ･デ･バルディ、舞台美術に宮廷建築家のブオンタレンティ、総合統括に作曲家カヴァリエーリ、という豪華な制作メンバーが名を連ねています。またこの作品は詳細な記録と楽譜も出版され、ほぼ完全な形で現代まで残っている貴重な作品として知られています。

古楽アンサンブルエクス･ノーヴォ
×アンサンブル･プリンチピ･ヴェネツィアーニ

ソプラノ:阿部早希子、大森彩加、進元一美、森川郁子
アルト:木下泰子、新田壮人
テノール:前田ヒロミツ、宮本英一郎、山中志月
バリトン:五島真澄
バス :阿部大輔、目黒知史

ヴァイオリン:大内山薫
ヴァイオリン/リラ･ダ･ブラッチョ:天野寿彦
ヴィオラ･ダ･ガンバ:頼田麗
ヴィオラ･ダ･ガンバ/リローネ:武澤秀平
コルネット:上野訓子
コルネット/テオルボ/ギター:笠原雅仁
トロンボーン:小野和将
トロンボーン:南 紘平
トロンボーン:飯田智彦
テオルボ/ギター:佐藤亜紀子
オルガン/ハープ:矢野薫

指揮:福島康晴