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コンサートについて

 パリを拠点に世界的に活躍し、その理知的なタクトから豊かな色彩溢れる指揮者、矢崎彦太郎と共演するようになり今年で10年なります。今までフランスの管弦楽作品を中心にプログラミングしてきましたが、今回はいよいよドビュッシーの代表作である「海」を取り上げます。

【ドビュッシーの2つの交響的な絵画】
 フランス印象派を代表する作曲家であるドビュッシー(1862-1918)が、交響詩「海」を作曲したのは1905年。オペラ「ペレアスとメリザンド」が成功し、作曲家としての地位が確立された時期でもあります。「海上の夜明けから真昼まで」「波の戯れ」「風と海との対話」という3つの楽章からなり、海の情景が時間経過とともに描かれます。初版のスコアの表紙には、葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が使われました。

 交響組曲「春」はドビュッシーがローマ大賞を獲得してローマに留学していた1887年に作曲されました。ボッティチェッリの名画「プリマヴェーラ(春)」から着想を得て作曲したと言われており、春の息吹や喜びが描かれています。残念ながら火災により楽譜が焼失したのですが、合唱とピアノの版は残っており、ドビュッシーの指示でビュッセルにより新たにオーケストレーションされました。

【ドヴォルザークの正統派シンフォニー】
 もう1曲は、矢崎からのリクエストでドヴォルザークのシンフォニーを演奏します。
 チェコ国民楽派を代表する作曲家であるドヴォルザーク(1841-1904)は、国際的名声を得て1884年にロンドン・フィルハーモニック協会の名誉会員に選ばれました。その際の依頼によって生まれたのが交響曲第7番です。完成したのは作曲家が43歳の時で、ドビュッシーが「海」を作曲したのも同じ43歳。ともに円熟期の代表作です。
 ドヴォルザークといえば「新世界」交響曲があまりにも有名ですが、この第7番は絶対音楽的な性格が強く、形式的にも古典的な構成で、9つの交響曲の中でもっともドイツロマン派的な作品です。ブラームスの交響曲第3番の影響が強いといわれていますが、ドヴォルザーク独特の素朴で温かな響きを持ち民族的な要素も散りばめられている魅力的な曲です。
 どうぞお楽しみに!

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