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水星交響楽団
第66回定期演奏会
2023年11月12日(日) 13:30 開演
指揮者: 齊藤栄一
クロード・ドビュッシー
管弦楽のための「映像」
/
モーリス・ラヴェル
管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」
/
ピョートル・チャイコフスキー
交響曲第5番
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コンサートについて
「作曲」とは何でしょう?極力単純化すると、作曲家の頭の中にある「何か」を音でカタチにする過程のこと。今回取り上げる三つの作品の発想の源泉となった「何か」も、暖昧なものから具体的なものまで、映像的なものから物語的なものまでと実に多様性に富んでいます。
まずはドビュッシー。彼の作品目録には「イマージュ」と題された作品集が全部で4つあります。この「イマージュ」(英語で「イメージ」)、「実際には目の前にない心の中の想像上の『映像』」といった意味あいの言葉です。1905年~1911年にかけて断続的に書かれた管弦楽のための「映像」は3つの独立した曲から構成されていますが、特にスコットランドとスペインに背景を持つ2曲は、20世紀初頭のフランスに色濃かった異国趣味を反映したドビュッシーの「脳内映像」を音にしたものと言えそうです。
続いてラヴェル。「ラ・ヴァルス」は「管弦楽のための舞踏詩」という一風変わった副題を持っていますが、着想の時点ではウィンナ・ワルツに触発された「ウィーン」と題された交響詩でした。が、当初の計画は第一次世界大戦の諸々の影響で中断、ディアギレフからの委嘱によるバレエ・リュスのための新作として1920年に書き上げられました。もっとも2台ピアノによる試演を聴いたディアギレフは「これはバレエではなくバレエの『絵』だ」と言って受け取りを拒んだというオチは、ちょっと皮肉が効いた面白いエピソードです。
そして「ワルツ」つながりでもう1曲。ベルリオーズの幻想交響曲とともに「ワルツを組み込んだ交響曲」の双璧とされるのがチャイコフスキーの第5番。チャイコフスキーの「運命交響曲」とも呼ばれることもある彼の最高傑作の一つです。死期の近い友人のもとで過ごした1887年の夏、「人生と運命、生死と神(宗教)」について考えることから生まれたと言われるこの曲、具体的な表題などがあるわけではないものの、作曲者が音楽で語ったことが非常にストレートに伝わる作品と言えそうです。
こうして作曲された「作品」を音に変換する「私たち」はというと、こうしたエピソードを無視するわけではありませんが、これらに過剰にこだわるより具体的な楽譜そのものに忠実であることを目指すタイプであると思います。結果「私たち」の演奏を耳にされた皆さんの「頭の中」にどのような「イメージ」が浮かぶのか、それは当日のお楽しみということで。
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