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芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカ
第43回演奏会 《社会への眼差し》
2023年11月12日(日) 14:30 開演
http://www.nipponica.jp/concert/ticket_information.htm
指揮者: 野平一郎 / チェロ独奏*: 横坂源 / ソプラノ独唱**: 竹多倫子
池辺晋一郎
悲しみの森 オーケストラのために(1998)
/
吉松隆
鳥のシンフォニア(若き鳥たちに) (2009)
/
三善晃
谺つり星<チェロ協奏曲第2番>(1989)*
/
林光
第三交響曲<八月の正午に太陽は…>(1990)**
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コンサートについて
20世紀という時代の政治、経済、社会の出来事に向き合い、時には歴史や伝統を問い直し、抗いながら生き抜いた日本の作曲家たちは、自己の存在意義をかけて芸術的な創作活動を行いました。それらの実践は、特に1990年代に生み出された作品群に結実しています。
彼らが《社会への眼差し》を持って作曲したオーケストラ作品は、今も尚、現代社会に訴えかける明確なメッセージ性を持っています。
池辺晋一郎の「悲しみの森」(1998年)は、“世界的な環境破壊で森が喘いでいるような状況に対する作曲家の気持ち”を表現しています。吉松隆の「鳥のシンフォニア(若き鳥たちに)」(2009年)は、21世紀に書かれた作品ですが、“これから音楽の広大な森を自由にはばたく「若い鳥たち」によせる賛歌”です。三善晃の「谺つり星〈チェロ協奏曲第2番〉」(1996年)は、敗戦後50年を迎えたことを機に彼が創作を始めた交響四部作のうちの2作目の作品で、管弦楽の大音量に覆い隠される独奏チェロの姿は、三善晃のオペラ「遠い帆」(1999年)に於ける、権力者の野望の捨て石にされた主人公・支倉常長の姿に重なってみえます。林光の「交響曲第3番《八月の正午に太陽は・・・》」は、作曲者が“北京の春”と呼んだ1989年の天安門事件を切っ掛けにして弾圧された若者たちに心を寄せた声楽付きのシンフォニーです。
必ずしも明るい展望を持つことの出来ない今、四人の作曲家の音楽は、私たちにメッセージ性を持って、厳しく、美しく、力強く、訴えかけてきます。作曲家一人ひとりが創作した過去の作品を耳と心で聴き、理性と感性を持って受け止めることは、現代に生きる私たちの務めであろうと思います。
現代日本を代表する作曲家である野平一郎による指揮、現代音楽作品の演奏にも評価の高い気鋭のチェリスト・横坂源と、第82回日本音楽コンクール声楽部門(オペラ・アリア)第1位を獲得後イタリアの歌劇場で活躍、国内活動も精力的に展開し注目を集めるソプラノ歌手・竹多倫子という新世代の演奏家を迎えるオーケストラ・ニッポニカの演奏会にご期待下さい。
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