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「クラシックもジャズも! 仲の良さとプロの技が同居する「くにくらクラリネットアンサンブル」

2024/09/06

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 クラリネットアンサンブルとして2010年に結成された「くにくらクラリネットアンサンブル」。クラシック中心のアンサンブルが多い中、クラシックも、ジャズもというジャンルレスな活動を続けるメンバーの原山佐保子さん、田中美佳子さん、スペシャルメンバーの谷口英治さんにお話を伺いました。

——「くにくら」という名前の由来はなんですか。

田中結成当時、東京西部の国分寺、国立、立川のあたりに住んでいる人が多く、メンバーが「秘密基地」と呼んでいる場所が国立にあることから、国立のクラリネットアンサンブル、ということで自然とこの名前になりました。

最初はメンバーの大浦綾子さんと原山さんが「何かやりたいね」と話し、知っているクラリネット奏者に声をかけて集まって結成しました。普段メンバーはそれぞれ、ウインドオーケストラやソロなどで活動しているのですが、Es、B♭、アルト、バス、コントラバスのそれぞれのパートが集まってクラリネットのみでアンサンブルできることは、日常の演奏活動と違う喜びがありますね。

——谷口さんは「スペシャルメンバー」ということなのですが

原山谷口さんは、ジャズクラリネットの一線で活躍されている方で、最初の演奏会の時にスペシャルゲストとしてお招きしました。

谷口さんがいると、メンバーの士気も上がるし、演奏の幅が広がるということで、3回目からは「スペシャルメンバー」ということで仲間に加わっていただいています。

谷口当初、「秘密基地」での飲食持ち寄りの飲み会に呼ばれたんですが、そこでの居心地がまずよかったし、全員が音楽のベースにしている吹奏楽を軸に、アンサンブルについて話せたのがとにかく楽しかったんです。

同じクラリネットといっても、ジャンルの違いによるとっつきにくさみたいなものはあるし、メンバーの皆様は佼成ウインドオーケストラやシエナウインドオーケストラ、東京吹奏楽団などに所属する名だたるプロ奏者なので、「音楽誌で見るような大先生ばかりの中に自分がいる」というプレッシャーはあるのですが、それを超える経験ができるのが魅力です。

クラリネットアンサンブルだと、ジャズは一、二曲ということも多いですが、ここの演奏会は、第一部がクラシック、第二部がジャズ・ポピュラーといった感じでどちらも演奏として成立しているのが、他ではないことだなと思っています。

原山それは、こちらこそ、という感じです。ジャズ分野の著名な谷口さんが我々と共演してくださり、さらに編曲、ゲストのセレクトまで担ってくださるので鬼に金棒といったところです。

ジャズとクラシックではリズムの取り方も吹き方も違うのですが、それを谷口さんのレクチャーを交えて練習できて、贅沢な経験ができています。

谷口そう、編曲やゲストブッキングは正直結構な負担です(笑)油断していると、クラシックの第一部でも吹いてくれと言われてコンクールのような緊張感を味わったりもします。

でも、くにくらなら、ジャズもきちんと演奏できるので、ゲストもパーカッション、ピアノ、コントラバスなど多様にお招きできて、アレンジし甲斐がありますね。お客様もこの両方が楽しめる良さに気づいていらっしゃる方が多いので、演奏会全体が盛り上がりますね。

——くにくらのアンサンブルの魅力はどんなところにありますか。

田中クラリネットは音域が広いので、それぞれの楽器(パート)ごとに様々な音色を使い分けて演奏します。1人1音しか出せませんが、9人の音が共鳴しあうと、パイプオルガンのような響きになったりします。クラシック、ジャズ・ポピュラーとジャンルを広げることで、さらに表現の幅が広がっているところでしょうか。

原山全員の音楽の原点に吹奏楽があるので、吹奏楽の有名な曲をクラリネットアンサンブルで演奏することがあるのですが、吹奏楽では特徴的な打楽器の音をいかに表現するかなど試行錯誤して、いい意味でお客様を裏切れるのが楽しいですね。

谷口ウインドオケなどでは「名バイプレーヤー」になることも多いクラリネットですが、アンサンブルではそれぞれが個性を出して音を「演じ分ける」必要がありますが、それを見事になし得ているところでしょうか。

クラリネットは普段、金管楽器などと違って「前に出る」楽器ではないので、演奏自体も一歩引いて俯瞰で人生を眺めるようなおしゃれさがありますね。ぜひ公式Youtubeや生の演奏会でご体感ください。

——通常の演奏活動に加えてのアンサンブル、大変ではないですか。

谷口私がくにくらに惹かれた理由に「自然体」と「仲の良さ」というのがあります。たとえば、それなりに年齢を重ねたメンバーが多いので、老眼も進みつつあるのですが、「拡大鏡を使っている」とか「楽譜自体を拡大コピーしたら楽だよ」とか、飾らない情報交換も活発です。一方で、多忙で集まっての稽古時間がとりづらくても、演奏会前には短期間で一気に仕上げてくる感覚もワクワクします。

田中部活動みたいな感じよね。吹奏楽部時代の延長戦というか。

原山各自の楽団などではシビアな部分もあるから、くにくらには、演奏そのものの楽しさを求めているところはあるかもしれません。

谷口一流奏者の皆様が、設営から自分でやっている姿にも驚きましたが、「部活動」というと納得ですね。

——皆様のチームワークの良さが伝わってきました。今後の活動予定はいかがですか。

原山コロナ禍もあっていったん活動がお休みになっていたところがありますが、徐々に活動を再開しています。来年(2025年)3月に演奏会を行うことは決まっていて、現在鋭意選曲中です。

谷口クラシック、ジャズの二本立てで、吹奏楽経験者はもちろん、普段クラシックはちょっと、と思う方にも楽しんでいただけると思います。情報はコンサートスクウェアでもお知らせ予定ですので、ぜひチェックください。

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中の人は、アマチュアオーケストラで打楽器をやっています