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2024/12/28
Laulaひとみ会は、クラシック音楽やミュージカルを学ぶ人々に向けたオープンな演奏の場を提供する団体です。プロ・アマチュアを問わず、幅広い年齢層の参加者が集うこの会では、「舞台経験を通じて音楽の楽しさと厳しさを学ぶ」ことを理念に掲げています。参加者一人ひとりの熱意と挑戦を尊重し、誰もが気軽に、かつ真剣にステージに立てる環境を整えています。 今回は、Laulaひとみ会の設立背景や活動方針、そして今後の展望など、取り組みについて幅広くお話を伺いました。
——Laulaひとみ会は、どのような団体なのでしょうか?設立の経緯や活動理念について教えてください。
上田Laulaひとみ会は、クラシック音楽やミュージカルを学ぶ人々に向けて、舞台経験を提供するためのオープンコンサートを開催している団体です。「舞台に立つ喜びと学びを広く提供したい」という想いから、2022年に設立しました。私自身も事務局として運営に携わりながら、歌い手としても活動しています。 クラシック音楽の世界は、どうしてもプロとアマチュア、あるいは所属団体間の垣根が存在しがちです。それは音楽に向き合うスタンスや考え方の違いによるものだと思いますが、Laulaひとみ会では様々なスタンスや考え方の違いに敬意を表しながらも区別はありません。プロもアマチュアもお互いのスタンスを尊重した上で、共に学び合い、繋がりを持てる場を目指しています。この取り組みを通じて、日本のクラシック音楽界全体を盛り上げ、音楽ファンの裾野を広げていければと思っています。
——プロとアマチュアが交わる場を作るというのは、面白い取り組みですね。具体的にはどのような形で活動されているのでしょうか?
御園生毎月1〜2回のペースでオープンコンサートを開催しています。会場は響きの良い公共ホールを利用し、本番さながらのコンサート形式で行います。照明や音響設備も整った舞台で演奏できるため、参加者にとっては非常に充実した経験を得られる場となっています。 これまでの参加者はプロ・アマチュアを問わず、年齢も高校生(音大受験生含む)から80代までと幅広いです。特定の固定メンバーを持たず、毎回新たな参加者を募るスタイルなので、多様なバックグラウンドを持つ方々が集まり、それぞれの音楽への熱意や挑戦の姿勢が、互いに良い刺激となる場になっています。
——特定のメンバーを持たないというのも珍しいですね。これまでの参加者の皆さんからはどのような反応がありましたか?
上田「本番の舞台で演奏できるという緊張感が、自分を成長させてくれる」といった感想を多くいただいています。 Laulaひとみ会オープンコンサートの場は、ただの発表会ではなく、挑戦の場として機能しています。例えば、通常のコンサートではなかなか挑戦できない新しい曲に取り組んだり、本番前のリハーサルとして舞台で試してみたりと、それぞれの目的に合わせた利用が可能です。また、自分の出番以外では他の参加者の演奏を観客として聴くことができるため、「他の演奏から多くを学べた」「新たな刺激を得られた」という声も挙がっています。 参加者の方の本番の様子および出演後の感想については動画もあるので、ぜひご覧いただきたいです。
——Laulaひとみ会という団体名もとてもユニークですが、これはどのような由来なのでしょうか?
上田「ひとみ」は、代表ピアニストである御園生瞳さんの名前から取っています。 御園生瞳さんは、クラシック、ミュージカル、ポップスといったジャンルを幅広くカバーし、どんな演奏者にも柔軟に寄り添える素晴らしいプロのピアニストです。彼女の存在が、この会のクオリティを大きく支えていると言っても過言ではありません。そのため、絶対に「ひとみ」という名前は入れたいと考えていました。
上田実は、元々「裏ひとみ会」という名前で活動を始めていたんです。「裏」という名前には、本番の華やかな舞台の「表」に対して、人知れぬ稽古や挑戦を重ねる「裏舞台」という意味を込めていました。しかし、参加者の皆さんから「裏」という言葉には少しネガティブな響きがあるという意見をいただきまして…。特にクラシック音楽の世界では、品位が問われる場面も多いため、誤解を招く可能性があるとの声もありました。 そこで、名前を一新することにしました。公募で案を募り、選ばれたのが現在の「Laulaひとみ会」です。「Laula」はハワイ語で「広がり」を意味します。この会を通じて音楽の輪が大きく広がってほしいという願いが込められています。同時に「部屋」を意味するイタリア語のニュアンスもあり、「音楽を通じて学び、挑戦する場」としてのアイデンティティを表しています。参加者の声を反映して成長してきたこの会だからこそ、みんなでつけた今の名前に誇りを持っています。
——とても深い意味が込められたお名前だったんですね。これまでの活動の中で、特に印象に残るエピソードについても教えていただけますか。
上田特に印象深いのは、プロの演奏者とアマチュアの方々が同じ舞台に立つことで、お互いに刺激し合いながら成長する姿を見た瞬間です。 以前、プロの歌手が新しい曲に挑戦している姿を見て、アマチュアの方が「自分も挑戦してみたい!」と意欲を見せていた場面がありました。また、アマチュアの方が非常に熱心に取り組んでいる姿を見て、プロの方が「自分も原点を見つめ直そう」と話していたのが印象的です。 さらに、舞台上だけではなく、演奏後の交流の場でも意見や感想を共有し合うことで、新たな気付きが生まれることも多いです。このような横のつながりは、クラシック音楽界では特に貴重なものだと感じています。
——プロとアマチュアが互いに切磋琢磨できる学びの場としての機能を果たしているのですね。プロとアマチュアが垣根を越えて交流する場を実現するために工夫したことはありますか?
御園生色々ありますが、一番は参加者が気軽に参加できるような仕組み作りです。例えば、費用面では非常にリーズナブルな参加費と伴奏料を設定しています。公共ホールを活用することで質の高い舞台を確保しながらも、収益目的ではなく、参加者の学びと挑戦を支援することを第一に考えています。実際、通常なら何万円もかかるような本番が、Laulaひとみ会では数千円で経験できます。また、必要なタイミングでいつでも参加できるように毎月開催を続けています。固定メンバーをもたないことも参加しやすさにつながっています。 また、SNSや動画配信を積極的に活用し、参加者が自分の演奏を振り返り、改善点を見つけられるようサポートしています。動画は非公開リンクで提供されるので、気軽に利用していただけます。さらに、毎回新しい参加者を募る形式にすることで、多様な人々が集まり、参加者同士の交流や刺激が生まれる場を作り出しています。 また、不定期で開催しているオフ会(飲み会)もLaulaひとみ会の魅力の一つです。普段はホールでしか話す機会がない参加者同士が、飲み会を通じてよりリラックスした雰囲気の中で交流を深めています。
上田飲み会はただ集まるだけではなく、「音楽を中心に楽しむ場」として、ピアノがある会場(外苑前のピアノサロンメロディーさん)で開催しています。御園生瞳さんがその場でピアノを弾いてくださることもあり、即席で演奏や歌が始まることもあります。以前の飲み会では、7人の酔いどれテノールが順番に『誰も寝てはならぬ』を歌う“7大テノール”のリレー演奏が行われ、大いに盛り上がりました。音楽家ならではの豪華なアドリブが飛び出すこともあり、普通の飲み会とは一味違う特別な時間になっています。
御園生飲み会でも自然と音楽が中心になりますね。演奏会の緊張感から解放された皆さんが、自由に歌ったり、演奏したりする姿を見ると、本当に音楽を愛しているんだなと感じます。私は伴奏しながら、参加者の方々の新たな一面を知ることができて、とても楽しい時間でした。
上田そういった交流の中で、新しい仲間が増えたり、次の演奏会に向けたアイデアが生まれることもあります。飲み会での「次はこういうことをやってみたい」という一言が、後の新たな企画につながったことも多いです。2025年のガラコンサートのアイデアも、実は飲み会での参加者の声がきっかけでした。
——毎回新しい参加者を募るというのは簡単なことではないと思いますが、そうすることでどのような効果が生まれていますか?
上田最大の効果は「多様性」だと思います。同じメンバーで活動するのではなく、毎回異なるバックグラウンドを持つ方々が集まることで、新しい発見や刺激があります。 過去には、高校生(音大受験生含む)が参加して、大学で音楽を専門に学ぶ方や、リタイア後に音楽を再び始めた方と同じ舞台に立っていただいたことがあります。こうした世代や経験の違いを超えた交流は、音楽への新たな視点を与えてくれると感じます。 また、プロとアマチュアが同じ舞台に立つことで、双方にとって学びの機会となります。プロはアマチュアの熱意や純粋な挑戦心に刺激を受け、アマチュアはプロの技術や表現力を間近で体感することができます。このように、参加者全員が音楽を通じて高め合える場が生まれています。
——最後に、現在進行中のプロジェクトや、今後の展望について教えてください。
上田2025年6月21日には横浜みなとみらいホールでのガラコンサートを予定しています。このコンサートは、通常のオープンコンサートとは異なり、より多くの観客の前で演奏する本格的な舞台です。参加者の皆さんから「もっと大きなホールで演奏してみたい」という要望を受けて実現しました。すでに50人以上の出演が決まっており、非常に楽しみなイベントです。 また、将来的には全国各地で同様の活動を展開したいと考えています。他の地域からも開催のリクエストが届いており、音楽の輪を広げていける可能性を感じています。この活動が、日本全体のクラシック音楽界の活性化につながることを目指しています。 私個人としては、仕事との両立など様々な理由で20代で一度諦めた歌手への道を、こうした活動を軸として人生後半戦で再びチャレンジし100歳のテノールプロ歌手となる夢を実現したいと思います。音楽は何歳になっても人生に潤いをも与えてくれ、健康寿命も大いに引き伸ばしてくれる事を自身で証明したいと思います。 そして、たくさんの仲間とともに音楽の輪を広げて行きたいです。ぜひみなさまのご参加を心よりお待ちしています。ホームページLaulaひとみ会オープンコンサートから申込を受付しています。
——素晴らしいお話をありがとうございました。今回の記事を通じて、さらに多くの方にLaulaひとみ会の魅力と音楽を通じた交流の素晴らしさが伝わることを楽しみにしています。 (インタビュー・構成/松永華佳)
ホールでの勉強会コンサート
中の人は、アマチュアオーケストラで打楽器をやっています