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2025/01/08
「カルテット・リアン」はヴァイオリンの道橋倫子、2ndヴァイオリンの上敷領藍子、チェロの大谷雄一、ヴィオラの四家絵捺のメンバーから成る弦楽四重奏団。2022年に結成され、大阪・豊中市を拠点に活動している。 2月に開催される『とよなか音散歩vol.5 special〜浄められた夜〜』では、今年生誕150周年を迎えるシェーンベルク《浄められた夜》を、弦楽六重奏で披露する。シェーンベルクの世界に浸れるこだわりの舞台についてと、カルテットの醍醐味を聞いた。
——「カルテット・リアン」は今年で結成から3年目を迎えられるそうですね。結成のきっかけを教えてください。
大谷カルテット作品の歴史のなかで、とくに重要な曲として知られている、ベートーヴェンの作品18を勉強したいメンバーが集まりました。この6曲からなるこの作品は弦楽四重奏曲の歴史のなかで、とくに重要な曲として知られています。第2ヴァイオリンは結成当時は野呂小百合さんが務められていました。 ベートーヴェン作品を基軸として、コンサートではフランスもの、ロシアものといった幅広い作品を取り上げています。
——カルテットならではの魅力や特徴はなんでしょうか?
大谷カルテットはとても研究しがいのある編成だと思ってます。4声部がそれぞれ一人づつの合奏の最小単位。無駄がないぶん、音の精度や役割を突き詰めないと良い演奏ができません。とても時間がかかるものなので、一つのコンサートをするのに、4人で一緒に勉強をする時間が十分に必要です。 カルテットは4人が一つの楽器になって、音の作り方、音色を突き詰めていかないとまとまりがなくなってしまいます。そういった意味ではソロやオーケストラよりもより緻密で繊細なジャンルなのです。
道橋一方で、日本ではまだなじみの薄いジャンルでもあるので、コンサートを開くときにはベートーヴェン以外にもさまざまな作曲家の素晴らしい作品を取り上げたり、豊中市の文化施設と関連付けたプログラムや、他ジャンルとのコラボレーションも図りながら、たくさんの方に楽しんでいただけるように工夫しています。 と、いいつつも4人ともカルテットが大好きなので、それぞれの知識を持ち寄ると大変なプログラムが出来上がってしまい、毎回必死になって練習しています(笑)
——2月19日、豊中市文化芸術センターで開催される『とよなか音散歩vol.5 special〜浄められた夜〜』ではゲストを招いて弦楽六重奏も披露されますね。
とよなか音散歩vol.5 ~浄められた夜~
日時:2025年2月19日(水)19:00開演
場所:豊中市立文化芸術センター中ホール (大阪府)
詳細 : https://www.toyonaka-hall.jp/event/event-43724/
音と語りで紡ぐ、文豪トルストイと詩人デーメルの世界 一夜限りの夢の饗宴! 〜プログラム〜 ワーグナー: 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲(弦楽六重奏版) ヤナーチェク: 弦楽四重奏曲第一番「クロイツェル・ソナタ」 シェーンベルク: 浄められた夜
道橋今回の演奏会では「カルテット・リアン」とつながりのある方々のお力をお借りして、弦楽の輪を広げたいと思い、弦楽六重奏をしようということになりました。オケとの中間を漂うような演奏ができるのではないかと思い弦楽六重奏という編成を選びました。 ゲストメンバーのお一人である、ヴァイオリンの荒井英治さんは私たちカルテット・リアンのコーチでもあります。ご自身も、私たちと同じようにオーケストラに所属され、30年以上にわたって『モルゴーア・クァルテット』の第一ヴァイオリンを務められています。つまり私たちの大先輩。練習をみっちりとみてくださり、いつも真剣にアドバイスをくださいます。そんな荒井先生をはじめ、日本センチュリー交響楽団のスタープレーヤーの方々とご一緒できるのがいまから楽しみです。
——6人での練習はいかがですか?
道橋ゲストの方々は私たちよりもキャリアのある方々。皆さんのやり方を私たちが吸収していけたらと思っています。最初は少し緊張していましたが、とても有意義な時間を過ごしています。
大谷「ゲストの方々がどんな音楽をされるのだろう」とワクワクしながらいつも合わせに向かっています。段々と僕たちのやりたいことも伝えながら、ディスカッションを深められたらと思っています。
——曲目についてはどのようなコンセプトがありますか?
道橋今回は言葉や詩、文学作品とのつながりを考えました。《浄められた夜》はシェーンベルクがデーメルの詩に感銘を受けて作曲した作品ですし、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》より「前奏曲」(弦楽六重奏版)はオペラ作品、ヤナーチェク「弦楽四重奏曲第1番《クロイツェル・ソナタ》」もトルストイの作品からインスピレーションを受けて作られた曲です。 《クロイツェルソナタと浄められた夜では劇団☆kochoの前田茉羽さんに朗読をしていただく予定です。言葉と音楽との結びつきを感じていただけると思います。
大谷ワーグナーはもとはフルオーケストラの曲ですが、弦楽六重奏版では特殊奏法を一切使わない、弦楽器の純粋な音でワーグナーの壮大な前奏曲を表現しています。さらに六重奏ならではの一人ひとりが輝く瞬間があるので、そういった意味でも魅力的です。 ヤナーチェクもある意味ドラマのような曲です。4楽章のどの楽章の中にも劇的なストーリーが聴こえてくると思います。また、“弦楽の国”で生まれた作曲家なので、弦楽器のさまざまな音色をお聴きいただけると思います。とくに、雑音に聞こえてしまいそうな、スル・ポンティチェロ奏法が効果的で、彼の生きた時代ではきっと斬新だったろうと思います。しかし、突飛には聞こえず、説得力があります。まるで、映画やドラマを観ているかのような作品です。
——最後に「カルテット・リアン」の今後の目標を教えてください
道橋それぞれの生活や人生があるなか、4人が音楽を深く勉強し続けていくのは大変なことです。今、こうして活動できていることに感謝しつつ、まずはベートーヴェンの作品18をすべて演奏し、カルテットとして成長したいと思います。 そして大阪を代表する弦楽四重奏団になりたいです! いや、日本を、かな?(笑)
大谷目標は大きくいきましょう! 「カルテット・リアン」の名前の「リアン」とはフランス語で「縁」という意味です。日頃からそれを感じながらコンサートをしていますが、今回も荒井英治さん、須田祥子さん、渡邉弾楽さんにご協力いただいたことで実現できた演奏会なので、今後もそういったご縁に感謝しつつ、どんどん発展していきたいです。
中の人は、アマチュアオーケストラで打楽器をやっています